本記事は64年ぶりのダービー牝馬「ウオッカ」解説です。
競走馬時のカッコいい元ネタ(戦績、ダービー参戦、ダイワスカーレットとの名勝負、08年天皇賞秋etc)。
ウマ娘内では中学校男子のようさカッコよさ追及、ダービーへのローテーションを知らないなど(僅かに)残念な子になったストーリー反映を解説。
またダイワスカーレットの固有ストーリーから見た対比になっているのも特徴です。
ウマ娘 ウオッカ キャラクター
<ウマ娘 キャラクター>
・カッコいい自分がカッコいい、と自覚はある
・私は私の道を往く典型タイプ
・鼻血をよく出す
・ダイワスカーレットがライバル
モデル馬から元ネタ、理由解説
カッコいい自分がカッコいい、と自覚はある
牝馬でダービー挑戦、64年ぶり制覇。この挑戦と本当に勝利したモデル馬のカッコよさ。牝馬参戦自体も11年ぶり、ウオッカの制覇した後の22年まで参戦は1頭のみ。
ウマ娘内ではカッコいいにこだわる、ただカッコいいにこだりすぎて少し残念。自分でカッコつけている客観視ができている、モデル馬のダービー自体が本当に「カッコいい」ので許容範囲。
私は私の道を往く典型タイプ
モデル馬がダービーに加え、牡馬挑戦、マイル、海外など結構おかしなローテーション。
馬主・調教師の海外志向。あと(ライバルのダイワスカーレットに比較すると)レース自体が不器用だったので試行錯誤した側面もあり。
鼻血をよく出す
現役時に2回鼻出血。(人間と違い鼻呼吸、肺にも影響、JRAでも1ヵ月出走停止になるので割と重傷。)
ウマ娘の鼻血キャラ担当はマチカネタンホイザ、ウオッカ。
ダイワスカーレットがライバル
ともに07年牝馬クラシック世代のライバル。
2頭の直接対決は07~08年の注目レース、最終対決の天皇賞秋は21世紀名勝負アンケート取れば1,2位レベル。
直接対決はウオッカの2勝3敗(どちらも1着でないレース除外すると2勝2敗)。1,2フィニッシュは3回。
ダイワスカーレットストーリーをウオッカ視線でとらえている。
(別記事 リンク)
下記、2頭の目標レース
黄色部分が直接対決
時期 | ウオッカ | ダイワスカーレット |
ジュニア | メイクデビュー 出走 | メイクデビュー 出走 |
ジュニア | 阪神JF ~5着 | |
クラシック | チューリップ賞 ~5着 | チューリップ賞 ~5着 |
クラシック | 日本ダービー ~5着 | オークス ~5着 |
クラシック | 秋華賞 ~3着 | 秋華賞 ~3着 |
クラシック | エリザベス女王杯 ~3着 | |
クラシック | 有馬記念 出走 | |
シニア | ヴィクトリアマイル ~3着 | 大阪杯 ~3着 |
シニア | 安田記念 ~3着 | |
シニア | 天皇賞秋 1着 | 天皇賞秋 1着 |
シニア | 有馬記念 1着 |
ウマ娘 ~クラシック期 ストーリー
左 ダイワスカーレット 右 ウオッカ
あまりローテ(レース体系)わかってない
良く言えばウオッカはアウトロー、カッコよさの持論があり、その中に強さ・結果を見出すウマ娘。
普通に言えば牡馬三冠路線、トリプルティアラ(牝馬三冠路線)を理解できていない残念なウマ娘。
阪神JF(牝馬路線)、朝日杯FS(牡馬路線)の2択も「ジェイエフ」の響きで阪神JF選択。ジェイエフ、エフエス、濁音のある「ジェイエフ」がカッコいい感覚だけはわかる。
そのローテの流れでチューリップ賞、桜花賞のトリプルティアラ路線。ここで宿敵ダイワスカーレットと対戦。
ダービー(牡馬三冠)は出たい
ダービーは父親に連れていってもらった初めてのレース、別格のウオッカ。非常識覚悟でダービー参戦。レース前はそのローテに称賛・驚き・侮辱・批判、様々な声。
(ウマ娘はタイトル通り、全員女性なので無謀さを表したのが「ローテの非常識さ」。その理由づけにウオッカがローテ知らない残念な子にされてしまう。スカーレットストーリーでもローテ無知原因とは思っておらず世間と同じように驚かれる。)
目標着順は5着以内。
ただ1着を取れば異様なざわめき、普段関わりの少ないウマ娘も驚く描写が見れる(シンボリルドルフ、トウカイテイオー、サイレンススズカ、スペシャルウィーク、ナリタブライアン。牡馬でダービー出走馬、スズカ以外は勝利馬。)
海外遠征失敗
ダービー後、海外遠征へ。しかし出発前の空港でカッコよくターンした時に足をひねり負傷。海外遠征取りやめ。残念な子。
ただ怪我の功名か宿敵スカーレットと秋は国内対戦。
普段はウオッカにはタイド、負けん気が強いスカーレットもダービーの走りに驚き、そのスケールに負けを認める。
クラシック期秋は下記2(3)レース。
秋華賞:目標レース。スカーレットと対戦。
エリザベス女王杯:目標レース外だが出走可能。スカーレット参戦。
有馬記念:着順指定のない目標レース。スカーレットは登場なし。
ただウオッカはダービーの時のような熱さは感じられず、今後の道を模索。
史実解説 ~クラシック期ストーリー
馬齢は2000年改正表記にしています
生誕~2歳時
04年生まれの牝馬。父タニノギムレット、母タニノシスター。
ダイワスカーレットと相対的に目立たない普通の血統。名前はギムレット連想。最初は「ジン」予定だったが「ウオッカ」登録。名探偵コナンでどっちをウオッカにするか迷ったかは不明。
タニノギムレットもウマ娘化。ウマ娘内は父-娘は他人だがシンパシー強い設定(になるはず)。
2歳(06年)10月にデビュー。
2歳牝馬№1決定戦、阪神JFに4番人気で出走。1番人気のアストンマーチャンを差してクビ差でウオッカ勝利。
当然「JF」の響きで選んだ残念な選択なく2歳期待牝馬の順当なローテ。
3歳春 ダイワスカーレットと初対決
07年、桜花賞前哨戦のチューリップ賞はスカーレットを差し切り勝利。
後から思えばこの何でもない牝馬GⅡが後の天皇賞秋、ジャパンカップ、有馬記念馬を輩出する大レース。
しかし本番桜花賞では早めにスパートをかけたスカーレットを捉えきれず2着に敗れる。
日本ダービー参戦
桜花賞後、ウオッカ陣営はダービー出走を表明。
当時の雰囲気は驚きと無謀、大谷翔平の二刀流挑戦時の日米反応に近い。戦後牝馬勝利なし、牝馬出走自体も11年ぶり、桜花賞1着ならまだしも、他調教師も否定的(賛同的だったのはアグネスデジタル、スペシャルウィークらを管理した白井わんぱく調教師くらい)。
近年の主な他の牝馬挑戦
96年 ビワハイジ 13着 (10番人気)
14年 レッドリヴェール 12着 (4番人気)
期待、応援、懐疑的な馬券人気。単勝オッズは3番人気(10.5倍)。ただ複勝など他種類馬券は単勝ほど売れておらず。
(終わったと思われたオグリキャップのラストラン、1年ぶり出走のトウカイテイオー有馬記念などが単勝だけ人気になりやすい)
レースはやや後方に位置する。残り400M辺りから他の牡馬と別次元の末脚。3馬身差をつける勝利。64年ぶり制覇の牝馬によるダービー制覇。
オークスに出ておけば等の意見を結果で黙らせたウオッカ。
わんぱくローテ馬
ダービーが目立つがモデル馬もわんぱくローテ。
ダービー1ヵ月後の古馬牡馬の集うグランプリレース宝塚記念出走してしまう。ダービー制覇、軽い斤量から1番人気に支持されるも稍重馬場、苦手な内回りコースからか8着。
(3歳牡馬でも出走少ない。ネオユニヴァース、ローエングリン、マウントシャスタ等。)
更にわんぱくローテ第3弾としてフランスの凱旋門賞。(斤量の軽い3歳牝馬が有利な背景はある。)
しかし国内調教中に蹄球炎発症から遠征取りやめ。
ウマ娘内のカッコいいターンをして足を負傷するカッコ悪いエピソードは調教中の怪我が元々。
クラシック後半時期
クラシック期 主要戦績 (スカーレット、ウオッカ)
3歳秋の史実3(4)レース
秋華賞:後方から追い込むもスカーレット、レインダンスに届かず3着。
エリザベス女王杯:軽傷だったが右関節跛行でレース当日に出走取消。そのためウマ娘目標レースから除外されている。(史実で勝利したのはスカーレット)
ジャパンカップ:仕切り直しの1戦。ほぼ最後方から追い込むも1馬身少し届かず4着。
有馬記念:距離が長かったか、中山競馬場のトリッキーなコースが合わなかったか11着惨敗。
3歳秋史実は不完全燃焼。そのためウマ娘内では結果に関わらず道を模索しているウオッカ。
先代のわんぱくダービー牝馬 (1943年)
ウオッカの前の牝馬ダービー馬はクリフジ。
日本ダービー(6馬身)、オークス(10馬身)、菊花賞(大差)、変則三冠のわんぱくぶり。ダービーではバリヤー式発馬機(ロープ張ってスタート時に上げる)のスタートを見ていなく大出遅れするわんぱくぶり。
(当時は現在日程ではなく現レース名とも異なる)
黎明期は突出した選手が出やすい、戦時中混乱期とはいえわんぱくローテ。
ウマ娘 シニア期 ストーリー
マイル路線へ
道を模索していたウオッカにトレーナーは駆け引きの少ないスピードを活かせるマイル路線を提案。
シニア期前半の目標レースはヴィクトリアマイル、安田記念。
天皇賞秋 ドゴーン
シニア期後半、最終目標レース(1着)は天皇賞秋。宿敵スカーレットとの対決。
レース前にはスカーレットに気持ちを打ち明ける。スカーレットのように王道戦線でなく、自分はその時々で心から走りたいレースを走っている(レース体系把握してないし、海外遠征直前で足ひねるし)。
ただ自分とは違う輝き、常にスカーレットが1番にいてくれるからこそ倒す価値がある。
私は私の道を往く、ウオッカ集大成のレース。
史実解説 シニア期ストーリー
史実のウオッカはスカーレットより1年長く走っているため、ゲーム目標レースには4歳(08年)、5歳(09年)時で2回ずつ出走している。
反則まがいのマイル適性
ウオッカは成績からマイルが本適性。7戦5勝、2着2回。
08年ヴィクトリアマイル
ドバイ遠征の疲れから後方からの伸びがなくエイジアンウインズの2着に敗れる。
08年安田記念
普段と違いスピードを活かした3~4番手で競馬。ダービーから1年以上勝てない時期が続いたウオッカの復活勝利。マイル適性を示す。
09年ヴィクトリアマイル
馬なりで先頭に立って7馬身差勝利。牝馬限定戦に出してくるのは反則レベル。20年アーモンドアイのヴィクトリアマイル出走と同じくらい反則まがい。
09年安田記念
馬群に囲まれ全く動けない、武豊騎手が立ち上がるほど前が詰まる。最後に進路を見つけ、他馬にぶつかりながら残り100Mから加速、勝ってしまう。押しくらまんじゅうして残り100Mだけの競馬。存在が反則的ウオッカ。
ウオッカの強さがパッと見で一番わかるレース(ウマ娘アニメ1期OPでも残り100M前後を再現)。
マイルで敗れたのは上記08年ヴィクトリアマイルとスカーレットとの07年桜花賞のみ。
08年天皇賞秋 対スカーレット
ウオッカは7番手に位置、スカーレットは早めのペースで逃げる。直線では1歳下の牡馬ダービー馬ディープスカイと長い叩き合い。スカーレットを抜かし、ディープスカイよりウオッカに勢いに分がある。
力尽きたと思っていたスカーレットが差し返す、スカーレットと並んでのゴールイン。結果は2センチ差でウオッカ勝利。当時の東京2000Mレコード決着。
フジテレビ実況の青嶋達也アナは「大接戦ドゴーン(でゴール)」は有名。言葉が(普段からの気はするが)追い付かなくなる大接戦。
当時は牡馬相手に2000M以上GⅠで牝馬が勝利することは稀(スタミナ、パワー面が牡馬が優る、マイル以下では牝馬は勝負できていた)。
近代競馬では97年天皇賞秋のエアグルーヴ。直近05年に人気薄で宝塚記念スイープトウショウ、天皇賞秋ヘヴンリーロマンスで兆候はあった。
ただ2頭は1,2番人気。マークされた状態の1,2着決着。
牝馬が牡馬に通用しない風潮に終止符を打ったレース。
その後のウオッカ
08年ジャパンカップ3着。
09年天皇賞秋は3着に敗れ連覇ならず。
3年連続で出走した09年ジャパンカップはハナ差1着、念願の勝利。
東京競馬場適性
東京でやたらと強い(12戦6勝、2着3回、3着1回、4着1回)。
ローテがダービーと重なるオークスを除いた東京競馬場GⅠコンプリート。国内では08年5月から出走は東京のみ。
基本は末脚勝負するので長い直線が合った、ストライド走法なので小回りに向かず広い東京に向いた。(ウマ娘内でもレースの一歩間隔が他より長くなっている)
ドバイ遠征
翌10年に3年連続でドバイ遠征。
前走ジャパンカップレース後に続き鼻出血を発症。ドバイのレースを最後に引退。
(ウマ娘の海外遠征はドバイや取りやめになった凱旋門賞など海外志向が強かったため。)
4年連続GⅠ勝利、3年連続牡馬相手にGⅠ勝利の長くに渡った活躍。
最初は3強扱い アストンマーチャン
左側 アストンマーチャン
桜花賞では単勝人気がウオッカ → アストンマーチャン → スカーレットの順番、3強に人気集中。ただマーチャンに本質的には1600Mは若干長く7着に敗れる。(2歳時には阪神JFでウオッカ1着、マーチャン2着)
その後スプリント路線へ。GⅠスプリンターズS(1200M)で3歳にして勝利。
しかし4歳現役時に早逝。
(22年2月にウマ娘化。ストーリー未実装だがスカーレット、ウオッカとは関係がある様子。)
22年9月にストーリー実装。下記、別記事です。
牝馬が勝って当たり前 時代到来
レーススタイル、長所短所、血統背景も対極的な牝馬2頭。
下記は個人的に見た2頭比較です。
天皇賞秋の名勝負、それぞれが大レースのジャパンカップ・有馬記念を制する。同じ年に生まれ、それぞれの長所を活かして現役トップへ。
ストーリー中でも表現されているが、史実でもお互いの存在がいたから輝いた2頭。
この2頭が口火を切ったかのようにブエナビスタ、レッドディザイア、ジェンティルドンナ、リスグラシュー、アーモンドアイ、グランアレグリア等、牝馬が勝って誰も驚かない時代が到来。2000年前半までの「牝馬が牡馬に敵わない」当たり前を変えたウオッカ、ダイワスカーレット。
主要勝ち鞍
GⅠ 阪神JF(06年) 日本ダービー(07年) 安田記念(08,09年) 天皇賞秋(08年) ヴィクトリアマイル、ジャパンカップ(09年)
(レース名・グレードは当時準拠)
アニメ版
1,2期ともにチームスピカ所属(スカーレットも同じ)。レースは出ているようだがどの頃なのかは曖昧にしている。ウマ娘時空。
3期があれば2人が主役候補。対抗にキタサンブラック、オグリキャップ、マヤノトップガン前後世代。
まとめ
牝馬の牡馬挑戦、海外遠征の象徴、先駆けの存在。
惨敗のリスクもあったが結果で雑音を黙らせたダ―ビー。
常に王道の最強牝馬スカーレットがいたからこそ、2頭それぞれが際立つ特別な関係。
ウマ娘ストーリーでは現実準拠のため少し残念なカッコいい子。