本記事は女帝 「エアグルーヴ」解説。
ウマ娘内での圧倒的女帝感を誇るエアグルーヴ。その理由はモデル牝馬が90年代に牡馬一線級と対等以上に渡り合った事実から。
史実からストーリーへの反映を解説。90年代の女帝(牝馬の時代)、天皇賞秋、繁殖牝馬としても一流、後世にも語り継がれる女帝の戦績、エピソードを紹介。
ウマ娘 エアグルーヴ キャラクター
<ウマ娘 キャラクター>
・威厳ある女帝
・口調厳しめ
・自分にも厳しく律する
・真面目
・生徒会副会長
モデル馬から元ネタ、理由解説
威厳ある女帝
90年代、数少ない牡馬一線級と戦った、強い牝馬のイメージ。ウマ娘は全て女性になるのでその点を強調。
口調厳しめ・自分にも厳しく律する
威厳に足した要素。
真面目
しいえ言えば、競走馬時代に3着以内を外したのが2回のみ、堅実な走り。
生徒会副会長
エアグルーヴ固有ストーリーでは後進育成の象徴役割。
~クラシック期 ストーリー
エアグルーヴ 目標レース
ストーリー序盤
一応年上のトレーナーのはずなのに「貴様」呼びスタート。
(多分ファインモーションの演技くさい「きさま~」口調は同部屋エアグルーヴの真似。)
信念が強い上に信念多めなエアグルーヴ。
・母(ダイナカール)と同じく強いウマ娘。
・後進を導くため目標の指針となる、後輩指導。
・後輩が育つ環境である学園の土壌を整える、生徒会副会長を務める。
この生徒会、ほぼ役所。アニメや漫画にありがちな権限強い・業務が多岐に渡る・多忙。
そのため生徒会活動を(グルーヴのトレーニング時間や疲労の心配ゆえだが)理解しないトレーナーは契約解除が下される。
グルーヴのトレーナーになるにはトレーニングではなく、まずグルーヴと同じ目線に立つことが重要。
そのためグルーヴ固有ストーリー序盤の主な役割は生徒会下請のリアル土壌管理係。他のウマ娘ストーリーにない土壌整え、花壇管理モード仕様。
牧場物語
牧場物語(下請) 概要
・組織上は生徒会→美化委員の下請。ニシノフラワーが直属現場監督になる。
・土壌というか花壇管理中心。生徒への配布を行う場合もある(母の日前など)。
・ナリタタイシン、ナカヤマフェスタも花壇担当補助メンバー(当人性格から1人の時にしか行わない)。
※業務の妨げにならない範囲で下記権限有する
・生徒会全体の活動補助
・グルーヴのトレーニング指導
・グルーヴ後輩へのトレーニングアドバイス (「アクセル筋の鍛え方」とかいう謎部位トレーニング)
・グルーヴから「貴様」「全くお前と言うやつは」「情けをかけられるとでも思ったか」など叱咤激励を頂ける。
クラシック期 ストーリー ハイライト
・母(ダイナカール)が制したオークス。オークスがどんなものか母に尋ねたが「グルーヴも走って見れば?」自分で考えさせる教育方針。勝利後のグルーヴは…
(5着以内でも目標は達成)
・トリプルティアラ最終戦、秋華賞。勝利した場合はメジロドーベルから憧れの背中、目標と伝えられる
(現実では1年後にドーベル秋華賞勝利。2年後のエリザベス女王杯でエアグルーヴと対戦、鬼のような形相で負かしにくる。)
(別記事 リンク)
細かくは他攻略ホームページをご参考に。
それよりもこの時期は花壇管理スキルを優先する時期。
史実解説 ~クラシック期ストーリー
馬齢は2000年改正表記にしています
良血馬 生誕
93年生まれの牝馬。父トニービン 母ダイナカール。父は当時の名種牡馬、母はオークス勝利の良血馬。
人間を舌で舐め回すので幼名はベロちゃん。スキンシップ、人間好き。現役時も厩務員を舐め回すのでベロちゃんと呼ぶ人もいた。
95年 2歳(ジュニア)時
調教師は故伊藤雄二氏(ダイイチルビー、ウイニングチケット、ファインモーション等)。95年に札幌でデビュー。新馬戦は敗れるも折り返し新馬戦で5馬身差勝利。
最初にエアグルーヴを有名にしたのは東京オープン、いちょうステークス。前の馬に進路塞がれ急ブレーキ(武豊騎手も一旦立ち上がる)→残り200Mで再加速→トップスピードの他馬を差し切り。一旦スピード落ちて再加速は相当困難、2速→5速並のギアチェンジ。
目標レースにもなっている2歳牝馬GI 阪神JFではビワハイジのスローペース逃げ切りを許し2着。
ビワハイジは後に産駒でGI6勝ブエナビスタ、阪神JF勝ちジョワドヴィーブル、ヨギボークッションステークス覇者アドマイヤジャパン(契約金ニンジン12年分)等を出産。名牝対決。
96年 牝馬クラシック路線
桜花賞前哨戦チューリップ賞でビワハイジに5馬身差で返り討ち。
しかし本番桜花賞は熱発により回避。
オークスでは桜花賞馬ファイトガリバー追撃を抑え完勝。母ダイナカールとの親子制覇。
(ダイナカールの83年オークスはゴール線がハナ、アタマ、ハナ、アタマ差のわちゃわちゃしたレース。)
牝馬三冠最終戦の秋華賞。パドックのフラッシュ撮影で入れ込みレースにならず10着(調整もうまくいってなかった)。更に骨折も判明して休養。
このレースがフラッシュ撮影禁のきっかけ。
シニア期 ストーリー
シニア期 VSスピードの向こう側厨
シニア期には覚醒したサイレンススズカがライバルとして立ちはだかる。大体この辺の世代のライバル、キーパーソンになりがち。
今まで生徒の「目標」になることを理想としたグルーヴが、挑戦者として先頭の向こう側厨に挑む。
対戦レースは宝塚記念と天皇賞秋。特に天皇賞秋は1着目標レース。
そんなことよりも生徒会が設置した要望確認用の目安箱システムの内容が酷い。
・シラオキ様の祭壇設置要望(マチカネフクキタル)
・壁に描いた魔法陣消した抗議(スイープトウショウ)
・走りたいから日の出前の外出許可(スピードの向こう側厨)
・トレーニング中に視線を感じる(軽度の怪我で療養中のスピードの向こう側厨が羨ましくてずっと見ていたため)
通常業務に加え、スズカとの対戦やスズカの要望で多忙なエアグルーヴ。
史実解説 シニア期ストーリー
97年 4歳時
骨折から復帰後はマーメイドS、札幌記念を連勝。
陣営は札幌記念のジュニイン(皐月賞馬、マイルCS勝)を物差しにベロちゃんを牡馬戦線に送り出すことを決意。
97年 天皇賞(秋)
2番人気エアグルーヴ。1番人気は前年覇者、前走宝塚記念2着の古馬最強角バブルガムフェロー。
レースはサイレンススズカが1000M58.5秒で引っ張るも2番手スロー展開(おおよそ60秒前半)。前目にいたバブルガムフェローに残り200Mで並びかけ叩き合い末、クビ差勝ち。
物差しにされたジュニインは3着。
84年グレード制導入後、初の2000M以上GⅠ牝馬。奇襲でもない真っ向勝負の先に掴んだ勝利。近代競馬にいなかった女帝の誕生。
ウマ娘内で設定された天皇賞秋はエアグルーヴが出走した97年天皇賞秋と、エアグルーヴは出走しておらずスズカが本格化、1番人気だった98年天皇賞秋両方がモデル。
ジャパンカップ、有馬記念
ジャパンカップ
僅かにバブル1番人気だが、実質日本総大将グルーヴ。
一旦は先頭に立つも内から来た外国馬ピルサドスキーにクビ差届かず惜しくも2着。
パドックでピルサドスキーからトラウマを受ける。パドックではろくでもないことしか起きないベロちゃん。ちなみにファインモーションの半兄になる。ウマ娘内でもファインの姉(兄)は苦手、記憶は微かにあるみたい。(同部屋のファイン自体に負の感情はない、同厩舎ということからもむしろ気にかけている。)
有馬記念
ファン投票1位で出走。今回の鞍上はペリエ騎手(武豊騎手は3年間お手馬のマーベラスサンデーへ、単勝1番人気も譲る)。
マーベラスサンデーと叩き合い、外から3歳シルクジャスティスに差されての3着。
年度代表馬選出
天皇賞秋勝利、秋古馬戦線を評価され97年の年度代表馬に選出。牝馬受賞は26年ぶり。
5歳時 (98年)
春シーズン
始動の産経大阪杯(当時GⅡ)で1着。2着はメジロドーベル。
次走の鳴尾記念は2着。不良馬場で当時伏兵のサンライズフラッグに敗れる。
宝塚記念では快速馬サイレンススズカに1番人気は譲るが武豊騎手鞍上は譲らない。スズカは南井騎手が騎乗。
3コーナー辺りで垂れた先行馬の不利を受け、スズカの3着。
秋シーズン
昨年と同じく札幌記念。
斤量が58kg(牡馬換算60kg)なのに3馬身差圧勝、連覇。斤量関係なし。
本来なら天皇賞秋が目標になるが、サイレンススズカがチートモード突入で厳しい目論見、武豊騎手がスズカと被る兼ね合いからエリザベス女王杯へ。
しかし武豊騎手が6日間の騎乗停止(アドマイヤベガの新馬戦斜行)で横山典弘騎手に変更。メジロドーベルが鬼のような形相でイン差し、馬群を切り裂く。エアグルーヴは3着に敗れる。
次走ジャパンカップも鞍上は引き続き横山典弘騎手。エルコンドルパサーの2着。
ラストラン有馬記念は鞍上が武豊騎手に戻る。落鉄もありグラスワンダーの5着。
90年代の代表的女帝
牡馬相手に2000M以上GⅠ勝利、常に上位入線した牝馬は近代競馬でほぼいない。
牝馬はスピードこそ分はあるがスタミナ、パワー、勝負根性で劣るとされたが、それを黙らせた。
1回きりの好走でなく牡馬対戦の安定感抜群。年度代表馬にも選ばれた女帝。3着以内を外したのは、入れ込んだ秋華賞と落鉄したラスト有馬記念のみ。
次の2000M以上GⅠ牝馬勝利は05年スイープトウショウまでない。
またトニービン産駒らしく東京競馬場が得意。(トニービン産駒GⅠは13勝中11勝が東京。現役時トニービンはジャパンカップ参戦も5着。)
一方で普段はベロちゃんの可愛らしさ。
主要勝ち鞍
GⅠ オークス(96年) 天皇賞秋(97年)
(レース名・グレードは当時準拠)
繁殖牝馬時代
<代表産駒>
アドマイヤグルーヴ
(エリザベス女王杯連覇、ドゥラメンテの母)
ポルトフィーノ
(08年エリザベス女王杯 幻の勝ち馬)
ルーラーシップ
(香港GⅠ勝利、日本では出遅れデフォ馬)
競走馬でも繁殖牝馬でも一流の稀有な例。
13年に最後の産駒を生んだ直後に内出血により死去。
授乳を済ませた後に息を引き取った。馬は胎内で免疫、抗体を得られないため、最初の授乳有無の影響が人間とは異なる。
アニメ版
1期でサイレンススズカと宝塚記念で対戦。史実通り3着に敗れる。
スズカが天皇賞秋で故障した後には身を案じ、再戦を約束。復帰戦では現地観戦。
まとめ
今でこそ牝馬の混合GⅠ勝利は当たり前だが、90年代までは無理とされていた中に現れた女帝エアグルーヴ。繁殖牝馬としても血脈は未来へ受け継がれる。
ウマ娘内でも史実を反映し、レースでは挑戦者・女帝である一方、生徒会副会長として自身の走り・後進育成・学園の土壌を整え、輝かしく咲ける未来を示す物語。