本記事は真面目すぎた天才ギャル「ダイタクヘリオス」モデル馬解説。個性の塊、個性が本体のような競走馬人生。ストーリー実装、事前紹介記事です。
掛かりながらの不格好な走り・実は真面目な競走馬・90代前半マイル王者・カップル歴30年ダイイチルビーとのマイル戦・92年GⅠを壊滅メジロパーマーとの大逃げ・人気通りに走らないのはヘリオスがおかしいのでなく馬券人気の方ががおかしい法則性
戦績、エピソードを交えて徹底解説。
※本記事は完全版。個性、エピソード紹介が多くなってしまっているため、短縮(ショート)バージョンは下記になります。
(独特すぎる競走馬のため、全く連動しないハッシュタグ多めなヘリオス)
#新馬戦3連戦 #GⅠ壊滅3連戦 #プラレールコーナリング #直角カーブ_中京競馬場 #ライバル風ポエマー #阪神ばんえい競馬場 #サマンサトウショウ_同位置 #問題なくシンボリルドルフ #天皇賞秋_登録忘れ #引退レース_重複登録 #最後の切り札№8 #笑う馬_襲う犬 #1人3役_スリリングカップ #スキー自粛 #生耳時代 #山内さんの婿養子
ウマ娘内キャラクター
<ウマ娘キャラクター> ストーリー未公開時点
・パリピギャル
・明るい、だいたい笑顔、太陽
・メジロパーマーとコンビ扱い
・ダイイチルビーお嬢様大好き
モデル馬から元ネタ、理由解説
パリピギャル
モデル馬現役時の口を開けて走っている姿が笑っているように見えたこと。実際は前に行きたくて掛かり、口が開く(口を割る、ハミ受け悪いとも表現)。また出っ歯気味なので余計に笑っているように見える。
笑う、テンションが高い感じがギャル。出っ歯は八重歯に転換されている。モデル馬の気分屋のような成績=ノリ次第→ギャルも多少加味。
レースの姿通り設定にすれば「猪突猛進、テンション高め、短気、その割に気分屋、頭はよくない」。
明るい、だいたい笑顔、太陽
前理由に近い。ヘリオス=ギリシャ神話の太陽神→明るい連想多少あり。
製作事情で言えばアニメ2期時期(アプリ開始前の販促時期)にウマ娘化。メジロパーマーを励ます、背中を後押しする役。また重い回を入れる必要のあるトウカイテイオー主役物語のクッション、コメディ班(チームカノープスに近い役回り)。
90年代前半モデル馬が増えた時期の実装ウマ娘。
ダイイチルビーお嬢様大好き
ダイタクヘリオスと超お嬢様ダイイチルビーは競馬史上、最もカップルと称された2頭。
同時期のマイル戦トップの牡馬(ヘリオス)、牝馬(ルビー)。ヘリオスはルビーがいると好走。世間はヘリオスがルビー片思いしているのでは?庶民ヘリオスがお嬢様ルビーを想うドラマ的要素。
90年前後の競馬がギャンブル色からカルチャー、エンターテイメントに変化した時期(有名なのは「馬なり1ハロン劇場」)初期の擬人化競走馬。
(別記事リンク)
メジロパーマーとコンビ扱い
対戦は宝塚記念、天皇賞秋、有馬記念。僅か3戦、特に1,2フィニッシュもしていない。しかしお互いが大逃げする(正確にはヘリオスが大逃げするパーマーを追いかけているだけ)。
3レースとも大波乱、内パーマーが人気薄で2勝。92年GⅠ大舞台をノリでめちゃくちゃにした2頭。
(別記事リンク)
競走馬 ダイタクヘリオス 解説
ヘリオスは今から約30年前の競走馬。
スターホース、名脇役のどちらでもない。実力があるのにネタ馬扱い(ゴールドシップ、メイケイエール枠)、愛される迷馬枠。
大まかな戦績に下記の特徴を折り混ぜて解説します。
簡単な特徴
(既に多い、ここにルビー・パーマー絡みが追加、胃もたれ迷馬)
①90年代前半マイル王者
②前の馬を抜かしたくて仕方ない、競馬を影踏みと勘違い、その瞬間に先頭にいることが重要な価値観(平成のメイケイエール)。
③レース・調教前後以外はおだやか、のんびり、従順、真面目(平成のメイケイエール)
④天皇賞秋 登録を忘れる
(91天皇賞秋 幻の19着馬)
⑤ライバル要素多め トウカイテイオー
(92天皇賞秋 気分でレースを破壊、両者共倒れ)
⑥出走ローテーションがおかしい、過酷
(1200M→翌週2500Mを走る etc)
⑦人気通りに走らない (理由はローテ)
EXTRA 種牡馬として大物は期待されていなかったがGⅠ馬輩出(単勝最低人気 ダイタクヤマト)
生誕 ~ デビュー ~ 3歳
(馬齢は現在使われている表記にて記載します)
87年生まれの牡馬。父ビゼンニシキ、母ネヴアーイチバン。
栗東トレセン、梅田康雄調教師の元で管理。
デビューしてから3歳までのヘリオスは「今後期待できそうなスプリント~マイル馬」の典型的な戦績、3歳時は何となくサクラバクシンオーに近い戦績。
連闘を2回してしまう生耳時代
デビューは89年10月。2歳時は6戦して1着2回、2着2回。
当時のGⅠ阪神3歳ステークスは武豊騎手騎乗で逃げてアタマ差2着と健闘。
(現在の2歳牝馬女王決定戦、阪神JFの前身レース。当時は性別関係なく関西2歳王者決定戦。関東は朝日杯。)
ヘリオス 2歳時戦績 (89年)
特記点は2回の連闘を敢行。既に謎ローテの片鱗。
新馬戦も連闘するヘリオス。当時新馬戦は同開催場所で再出走が可能(最大4回可能)。4週間で3回も新馬戦出走するヘリオス。ただ当時の2歳GⅠで2着、①90年代前半マイル王者の片鱗。まぶたのオレンジが弾み始めた頃。
2歳時はトレードマークの青メンコをしていない。メンコはおしゃれ目的、勝負服の一部目的 or 防音・視界を狭くして集中させるための矯正馬具どちらか目的。ヘリオスは後者。
ウマ娘で耳につけている謎カバーがメンコ比喩。
主戦 岸慈彦騎手
主戦騎手は当時2年目19歳の岸慈彦。梅田厩舎に所属、そのため他厩舎の騎乗依頼時は優先する指示を受けていた(ヘリオスは梅田調教師の指名で岸騎手に戻せるため)。
ヘリオス35戦中29回騎乗、他厩舎依頼で5回、騎乗停止中の1回は他騎手へ。
またスキーに行って騎手免許更新手続を忘れる → 1ヵ月騎乗自粛時は「しっかりとヘリオスローテに合わせて自粛」よくわからない反省をしていたので関係なし。
21年1月頃デザイン分
3歳時 素質高い、まともな走り(ヘリオス比)
一応クラシック路線を意識したローテ。しかし掛かってしまい距離の長いきさらぎ賞、スプリングSはガス欠。
陣営はスプリント~マイル路線へ。トレードマークの青メンコ(矯正馬具)も準備。ダビスタ藤枝厩舎よろしくGⅢクリスタルカップで重賞初勝利。
1600M以下なら好走、素質は高い。脚質は基本先行だが先頭行きたがる素振りはこの頃から見せる。逃げる、早めに先頭を奪うレースも多い。
ただ明らかに口を割るレベルではなく、掛かり気味な程度。走行フォームもまだ推進力がまともに伝わる物理法則に反していない走り方。
もちろん後のヘリオス比較であり、普通に言えば「前の馬を抜かしたい」感が丸出し。テレビ中継、新聞では「ヘリオスがどう走るかで展開変わる」と若干の問題児扱い。
②前の馬を抜かしたくて仕方ない
③レース・調教前後以外はおだやか、のんびり、従順、真面目
ヘリオス本来の性格はおとなしい、のんびり(ほわぁ…)、従順、真面目。
前の馬を抜かしたい走りも真面目な性格が裏目に出た結果。メイケイエールと近い性格。平成のメイケイエール=令和のダイタクヘリオス。
5ヶ月休養、古馬初対決
3歳6月から5ヶ月の休みをもらえるヘリオス。現役中、最大の夏休み。
使い詰め、脚元に若干不安があり無理する時期でない、賞金もGⅠに出られるくらいに加算済、当時3歳でスプリント~マイル路線に出られるレースも少なかった(重賞でない葵Sは斤量59kgを背負わされる)。
復帰後は初古馬相手、いきなりのGⅠ参戦マイルCS。このレースは脚部腫れがあり騎手も無事走らせることに専念し後方追走。3コーナーでもほとんど最後方、17着入線。
このレースにヘリオス見せ場なし。見所は3コーナーで最後方にいたサマンサトウショウ魔法みたいな末脚で3着、スイープトウショウの祖母。
当時年末開催のGⅠスプリントSは5着好走。休養復帰後初めて岸騎手が騎乗、果敢に先行した競馬。(1着バンブーメモリー)
ヘリオス 3歳時戦績 (90年)
来年は本格化して、競馬を覚えてくれたら将来有望な3歳で1990年を終える。
4歳時 ダイイチルビーと出会い
4歳前半にヘリオスは本格化の時期を迎える。
笑う馬の太陽
2月のGⅡマイラーズCは武豊騎手が代打騎乗。4コーナーでヘリオス得意の直角カーブ(ほぼ膨らまずにカーブできる特殊スキル)で最内を突いて5馬身差圧勝。武豊騎手から「相当力をつけていると思います」「まともに走ればどれだけ強いか」賛辞とまともに走っていない評価。
次走1番人気のダ―ビー卿CTは逃げるも4着にあっさりと敗れる。まともに走ればどれだけ強いか。
まず「人気を裏切る馬」から本格化。生涯6回1番人気になっているが1勝のみ(2歳時)。
91年 京王杯スプリングカップ
ついにヘリオスは完全に笑いなが走る馬として本格化。
首が高く、口を割って歯が見えている。1400Mでペースが遅くないのに掛かる。あとなぜか直線で視線を右側を向きながら走る、邪魔にならない程度に斜行。先行して伸びず6着。
癖馬の特徴を1頭で演じる、91年版京王杯スリリングカップ。
これ以降、毎レース確実に口を割っていないが、前に行きたそうな素振り・首が高い・前を向いていない(よそ見)。不格好な変な走り、特にスタミナ切れした時はピッチ走法ゆえにバタバタ走るので余計に変な走り方。
人間だと手の使い方を知らないクロール、息継ぎもあまりしない。でもバタ足だけで何故か進み大敗はあまりしない。
恋のマイル戦シリーズ スタート
91年GⅠ安田記念。1番人気はバンブーメモリー。ヘリオスは2走続けて凡走で10番人気評価。同期の超良血お嬢様ダイイチルビーが出走していたためガチ、今日は勝ちを狙うヘリオス。
布石は前走の京王杯スプリングカップ、ルビーと初対戦。
「直線で視線を右側を向きながら走る」→追い抜くルビーをガン見しながら走る。
「邪魔にならない程度に斜行」→ルビーの真後ろに進路変更、背後につける。
ラブストーリーは突然に(ルビーは無視して1着)。
ルビーは父トウショウボーイ、母(桜花賞・エリザベス女王杯馬)ハギノトップレディ、当時日本で考えうるほぼ最高の血統背景。”華麗なる一族”の末裔として名高い。
ダイイチルビー (りぼん特大号)
(別記事リンク)
レースは5番手ヘリオス、ルビーは13番手で追走。ヘリオスは笑いながら(口を割って)走った、バラバラなフォーム、格好悪い走り方。なのに残り200Mで先頭へ立つ。初GⅠ勝利、と思っていたらゴール直前で肝心のルビーに差されて2着。
ゴール後のキャンターでルビーの背中を見るヘリオスの大人しさ、哀愁感。(多分疲れていた、スイッチ切っている)
しかし直線の長い東京競馬場で、強い先行馬特有の走り。まともに走ればどれだけ強いか。
恋のマイル戦 有名になる
次走CBC賞。2番人気、ルビーがいないので流して5着。
対ルビー3度目の対戦高松宮杯。当時の中京競馬場、夏の名物GⅡ。2000Mはお互いにとって長い距離、ルビー1番人気、ヘリオス5番人気。
ヘリオスは第4コーナーで固有スキル直角カーブLv5で先頭へ、直線が当時中京は短くルビーの追撃をなんとかハナ差しのぎ勝利。
この時期に世間からヘリオス好走は「ルビーにいいところを見せたいのでは?」「庶民ヘリオスがルビーを好き」構図が一般化。
当時の競走馬擬人化(姿は馬)漫画のパイオニア「馬なり1ハロン劇場」でも”恋のマイル戦”シリーズ、高松宮杯後に1回目が掲載。
基本的にヘリオスがルビーに対する片思い構図。
ウマ娘内ではルビーはヘリオスへ塩対応、無表情
ちなみに競走馬ルビーは祖母イット―から続く伝統の高松宮杯一族3代制覇をよくわからない庶民に阻止される。
今年もBBQするって、パリピる約束したじゃない…
ベタに恋敵ライバル登場
秋になると恋敵ケイエスミラクルが登場(ウマ娘化、現実年齢はヘリオス・ルビーの1歳下牡馬)。
10月、GⅡスワンSでヘリオス、ルビー、ケイエスミラクルの3頭が出走。前目から鋭い末脚でレコードタイムでミラクル1着。ルビーが追い込むもクビ差2着。ヘリオス全く伸びず9着。
ケイエスミラクルの経歴
・デビュー前の大病、故障2回の困難を乗り越え奇跡的にデビュー。ミラクルの名はその理由から。
・スワンSがデビュー半年で8戦目、内レコード3回の快速馬。
・ヘリオスと同じ青いメンコ(耳部分はミラクル黄色ベース / ヘリオスは白)。
・アメリカ生まれの外国産馬。父は無名のアメリカ馬(スタッツブラックホーク)、ミラクルが唯一の活躍産駒。
・先行~差し脚質。前目で切れる脚を持つ、当時日本にほぼいなかったミスタープロスペクター系血統(後にエルコンドルパサー、キングカメハメハ系)。
・スピード感ある走り方が格好いい。しかも口を割らない、首を上げない、よそ見しない、掛からない、変な走り方をしない。
1,2フィニッシュからもルビーはミラクルが好きなのでは?構図がベタに発生。
漫画だと儚さのある、帰国子女、天才肌の完全人気キャラ。一方、ヘリオスは騒がしい、変な走りの庶民。
ヘリオス → ルビー → ミラクル構図。三角関係でなくルビーはヘリオスに興味がないので直線関係。ヘリオス、格好悪い振られ方。
ミラクル、ルビー
91年マイルCS ヘリオス、岸騎手 男の意地
ルビー1倍台の1番人気。ミラクルはまだ新星、1600M不安視され4倍台の2番人気。人気は2頭に集中、ヘリオスは離れた4番人気(11倍台)。
また主戦の岸騎手、実は3歳時葵S勝利からヘリオス騎乗11連敗中。安田記念2着はあるが1年半勝利していない。この間のヘリオス勝利は他騎手、マイラーズC(騎乗停止中)、高松宮杯(ヘリオスより他厩舎依頼を優先)。
他騎手はヘリオスが前に行きたがるのを我慢させる騎乗、岸騎手は無理に抑えず長所のスピードを優先する騎乗。
どんなに困難で挫けそうでも
この日のヘリオスは違う。掛かってはいるが前をちゃんと見て掛かる謎ヘリオス概念。
3~5番手追走、残り800M前からロングスパート(最初から掛かっているのである意味全1600Mスパート)、3コーナー手前の上り坂で既に先頭。ルビー11番手、ミラクル13番手の後方待機。
陣営よりこのレースは「逃げるな」の指示。しかし岸騎手は無理に抑えずヘリオスの気持ちを優先、タイミングと直線に立つ時の位置取りだけ調整。
(正確には何度か抑えようと手を尽くすがヘリオスが止まらないのでGoサイン)
4コーナー → 直線で異様に上手いコーナリング、1~2馬身は得している。ルビー追撃、ミラクルは前が詰まり遅れて追い込み。だが全く寄せ付けない走り、後続を2馬身以上離して初GⅠ勝利。2着ルビー、3着ミラクル。
ヘリオスはルビーを見返し、岸騎手はGⅠ大舞台で連敗を止める勝利。ヘリオスの掛かり癖は弱点でなく闘争心、真面目さの表れ。ヘリオスの前に行く気持ちをギリギリで汲み取り、最大限の力を出し切った勝利。以後引退まで岸騎手が騎乗。
その後の3頭
ミラクルは次走スプリンターズS中に骨折、安楽死。1年も走っていないが時代を先取りした快速馬。
ルビーはそのスプリンターズSで勝利。GⅠ2勝目。しかし翌92年は3戦して惨敗(対ヘリオス2敗)。もう走るのを放棄しているような様子。繁殖牝馬入り。
ヘリオスは次走は有馬記念5着。翌92年も現役続行、メジロパーマーとのコンビでGⅠ珍プレーを引き起こす。
(ちなみに実装されたウマ娘では「亡くなる」「競争能力喪失」は用いられません。まだストーリー化されていませんが走るミラクルのその後を描く物語。
またヘリオス、ミラクルの関係は良好な描写。ルビーがヘリオスへ塩対応、無感情なだけ。)
91年 ヘリオス、ルビー 対戦戦績 (5戦)
太字が着順 ()内が単勝人気
4歳(91年) ヘリオス戦績
基本的にこの年の軸はルビー・ヘリオスとの恋のマイル戦、ヘリオスのGⅠ初勝利。
ヘリオス 4歳時戦績 (91年)
<その他出来事>
・年末の有馬記念にファン投票で選出される(9位) → 距離長いけど出たら5着。小回りでコーナーが多く息が入れやすいのでマイラーでも好走例多い(ただヘリオスはコーナー得意、息はあなり入れない)。
・高松宮杯1着 → 毎日王冠2着と天皇賞秋向けの万全ローテを組んだが91年の④天皇賞秋 登録を忘れる。梅田厩舎のGⅠ出走はヘリオスがほぼ初めてなので慣れていなかった(77年開業から83年はグレード制導入前で不明)。
その91年天皇賞秋はメジロマックイーン1着入線、斜行進路妨害で18着降着で有名なレース。レースに出る前から降着するヘリオス。
→ 96年天皇賞秋に同じダイタク馬、ダイタクサージャン登録成功。前年より3回登録必要な06年クラシック皐月賞にも成功の快挙(ゴウゴウキリシマ)。
Failure teaches success.
5歳(92年) メジロパーマーとGⅠレースを破壊
この年のヘリオスは中距離GⅠも視野。具体的には宝塚記念、天皇賞秋。昨年の有馬記念5着で今のヘリオスなら距離が持つと考えた陣営。ただマイル路線も普通に走るのでローテがガチャガチャ化。
春マイル戦線
5歳初戦GⅡマイラーズC。60kg斤量が嫌われて2番人気。口を割って不格好な走りなのに4コーナー後続を引き離し先頭、5馬身圧勝。まともに走ればどれだけ強いか。
(同一重賞2年連続5馬身以上勝利はヘリオスだけが持つ記録)
次走京王杯スプリングCはご愛敬で4着。
昨年2着の雪辱へGⅠ安田記念。去年と違うのは1番人気ヘリオス、一流マイラーとして認められたか逆張りされたかは不明。
道中は昨年と同じく5番手前後、去年よりペースが速い(1000M 56.9秒)のにやっぱり掛かる、伸びずに6着。
1着はウマ娘、風ポエマーとして有名なヤマニンゼファー。翌年も勝利。
沈みゆく太陽 追い越してみたい
(別記事リンク)
このレースは力負け。昨年の激走が謎(1000M通過タイムも近く57.6秒)。
コーナーで突き放す、先行力、持続的スピード武器のヘリオスに東京1600Mは相性悪い。4コーナーでリードするには早すぎる、もちろん折り合って先行は無理。
パーマーに出会う (ばんえい競馬で)
メジロパーマー
GⅠ宝塚記念参戦。この年のメンバーはもの凄く手薄、2番人気になるヘリオス。GⅠ馬がヘリオスと凡走続くダイユウサクのみ。怪我or引退で回避馬続出(メジロマックイーン、メジロライアン、トウカイテイオー、ナイスネイチャ等)。
レースは案の定掛かる、2200Mはヘリオスに遅い流れ。ただ唯一前に逃げ馬メジロパーマーがいたので楽しそうに追いかける(抜かそうとする)ヘリオス。これが地味に歴史的「爆逃げコンビ」誕生の瞬間。
ただこの年の阪神競馬場、異様に時計がかかる馬場。一応良発表だけど開催最終週で重い。更にパーマー/ヘリオスのハイペースが加わり、直線で全馬よぼよぼ、ばんえい競馬、ヘリオスがよれよれ、この世の終わりのような光景。
パーマーが逃げ切る、上がり3ハロン39.8秒とパーマーもヘロヘロ(当時の宝塚記念レース上がりは35~36秒前後)。ハイペースの未勝利戦みたいなタイム。ヘリオスは5着。
パーマーストーリーは常にヘリオスが一緒すぎて2人担当状態
別記事リンク
逃げて1800M日本レコード 毎日王冠
秋初戦はGⅡ毎日王冠。東京1800Mで瞬発力勝負には分が悪い、逃げを打つヘリオス、岸騎手(昨年も逃げて2着、ただ途中まで抑えようとしていた)。
他馬より1馬身近い早いスタート、逃げていいので楽しそう、走り方は相変わらずどこを向いているかわからない。そのまま逃げ切り当時の日本レコードタイムで勝利。
極端には掛かっておらず苦手とされた東京競馬場を克服。
2着イクノディクタス、3着ナイスネイチャ、5着スカーレットブーケ(ダイワスカーレット母)のウマ娘勢力。
次走はちゃんと登録した天皇賞秋。
SB対決 92年天皇賞秋 (対トウカイテイオー)
⑤ライバル要素多め トウカイテイオー
迎えた本番の天皇賞秋。1番人気は骨折明け、約半年ぶり出走のトウカイテイオー。ヘリオスは前走が評価され3番人気(ネイチャが2番人気)。
この2頭の父親同士は因縁のライバル
・テイオー父はシンボリルドルフ、ヘリオス父はビゼンニシキ。共に84年クラシック組。
・共に岡部幸雄騎手が主戦。2頭がバッティングする弥生賞で1頭選ぶ必要。「選択するとか迷うとかそういう次元じゃなかった。問題なくシンボリルドルフ。」辛辣。
・弥生賞 1着ルドルフ、2着ビゼンニシキ。
・皐月賞はルドルフタックル(斜行)でビゼンニシキ吹き飛ぶ。1着ルドルフ、2着ビゼンニシキ。ビゼンニシキ陣営抗議も岡部騎手の2日間騎乗停止のみで結果変わらず。
8年後、息子同士(テイオー鞍上は岡部騎手)が対決。TV、新聞でも親のイニシャルからSB対決と盛り上がり。
まずメジロパーマーが先頭に立つ、しかしヘリオスに案の定パーマーと逃げ争い。3コーナー辺りでヘリオス単独の逃げへ。直線では先頭ヘリオス、内側を突いてテイオー(斜め後方でネイチャがマーク)の熾烈な争い。
しかし1800M時点でヘリオス沈む。パーマーと逃げ争いしていたので1000M57.5秒超ハイペースが原因、太陽沈む。また直線2番手追走のテイオーもハイペース煽りを受けて沈む。
というか先行勢総崩れ。後続が押し寄せレッツゴーターキン1着。ネイチャ4着、テイオー7着、ヘリオス8着。
GⅠでヘリオスとパーマーやらかす。どちらかといえば無駄に追いかけたヘリオスのやらかし。
「ヘリオスの掛かり癖は弱点でなく闘争心、真面目さの表れ」 → 完全に弱点。
(テイオーは次走相手強化のジャパンカップを勝利)
走るか走らないかわかりません 92年マイルCS
次走連覇のかかるGⅠマイルCS。1番人気は牝馬シンコウラブリィ、2番人気ヘリオス。競馬評論家、解説者 伊崎修五郎氏はテレビ中継時「ヘリオスはよくわかりません、走るか走らないかわかりません(意訳)」プロがわからないと仕事放棄。
大外18番ながらスタートよく3番手、ほぼ先頭。3~4コーナーで他馬はカーブでスピードが落ちるが、ヘリオスはプラレールみたいに止まらないカーブ。追ってくるシンコウラブリィを突き放して1着、連覇。太陽、再び昇る。
バタバタ走りでも3~4コーナーだけは美しい。ネイチャ3着。ヤマニンゼファーは5着、安田記念の雪辱。
引退レース
ヘリオスは92年(5歳)末で引退予定。
当時、病気で入院していた中村雅一オーナーは翌年の現役続行を要望。「ダイタク」冠にとってヘリオスは初GⅠ馬、想い入れも強い。
陣営はそのまま引退へ。理由は種牡馬入りの目処(仕上がりの早いマイラーは好まれる)、ヘリオス身体も限界が近く、今後の故障と種牡馬価値低下を懸念。
ラストランのGⅠスプリンターズS。ヘリオスは1番人気、ただ追走が精一杯。4着に敗れる。
1着ニシノフラワー(3歳)、2着ヤマニンゼファー(4歳)。世代交代、1番人気を裏切るヘリオスらしいラストラン。
引退レース (2回目)
中村オーナー、有馬記念でもう1度ヘリオスを見たいと要望。まさかの連闘決定、次週有馬記念(2500M)。
ちなみに中村オーナー、その翌年に亡くなったりは全くしていない。03年ヘリオスが青森県の山内牧場に移動した際、偶然会った山内牧場の娘さんに「うちの息子が山内さんのところに婿養子に行ってるからね、よろしくね」とニッコニコ。
有馬記念 出走登録用紙
本当の引退レース 92年有馬記念
ヤケ気味連闘出走。2週間で計3700Mを走ることになるマイル王者。さすがに7番人気まで落ちるヘリオス。1番人気は前走ジャパンC勝ち馬のトウカイテイオー、2番人気ライスシャワー、3番人気ヒシマサル。
レースは大逃げメジロパーマー、宝塚記念以降惨敗で16頭中15番人気。
そして当然掛かって追いかけ始めるヘリオス。嫌った行列いつまでも並ばない太陽。向こう正面辺りからハナを奪い合う異常事態、マッチレース状態。連闘有馬記念でパーマーと大逃げをするマイル王者。
惨敗続きのパーマーと天皇賞秋ヘリオスが脳裏にある他騎手。警戒するのはテイオー、ライスやヒシマサルは後方マーク。ただこの時テイオーは状態が悪い上にスタート直後に腰を痛める、追走ができていない。
前2頭、ヘリオスのせいで分かりにくいが1100M通過1:10.5のスロー(90年代 3番目に遅い)。後続が前方にマークを切り替えた頃には大逃げ2頭が11秒ラップ4連発で差が詰められない。
残り400Mでヘリオスはガス欠、完全燃焼。パーマーがそのまま逃げ切り1着。先行していたレガシーワールド2着、掛かって前目になったネイチャ3着。ヘリオスは12着、意図せずパーマーをアシスト。
92年はマイル路線を走りながら王道GⅠは珍プレー続出。
ヘリオスらしい集大成のようなのラストラン。
自分は笑いながら走り、周りを笑わせながら全力で駆け抜けた、生きてるだけで丸儲けの精神。過去は終わったこと、未来はわからない、ケセラセラ、なるようになるさ、の精神。
何だかんだでウマ娘ヘリオスは原作準拠性格。
ライスシャワーの不幸巻き込み性質からずぶ濡れヘリオス
→ サマーフェスみたいとテンション上がる、超能力みたいで次に何が起きるか楽しみ (何事も気持ちひとつで見え方は変わる)
ヘリオス 5歳時戦績 (92年)
謎の出走ローテーション
⑥出走ローテーションがおかしい、過酷
ヘリオスの特徴として独特のローテ
・現役39ヵ月間で35レース、ほぼ1ヵ月に1回出走。
・休養期間(3ヶ月以上)を除くと約27ヶ月間で35レース。ほぼ3週間に1回出走。
・91年天皇賞秋の登録を忘れる。
・92年はスプリント~マイル路線を走りながら2000M以上の王道GⅠ出走(パーマーと同じレース、ほぼ何かやらかす)。
おおまかな理由は身体が丈夫、現在よりレースが調教感覚(叩き)が強い、マイル馬は現在よりレースが限られ2000M以上出走も多い傾向(バンブーメモリー等)、ダイタク冠の初GⅠ馬で最大の活躍。
丈夫さ、時代影響、馬主期待。
人気を裏切る馬
⑦人気通りに走らない (理由はローテ)
そうなってしまった理由
(1)ダイタクヘリオス適性(好走)距離は1600~1800M
自身の本格時期、(相手もレベルが上がりほぼGⅡ以上の)古馬時代91~92年では7戦4勝 (2着2回、6着1回)。
(2)1200~1400Mは適性外。7戦して3着以内なし。
(3)この時期1600~1800Mを連戦していない 。
得意距離と苦手距離を交互に走るので好走、凡走を繰り返す。(4)馬券人気が反転して低評価で好走→高評価で凡走。ヘリオス自体は(変な走り方だが)堅実に走っている。
※唯一の例外は92年安田記念(東京苦手、GⅠ)。
91~92年 出走レース 人気、着順
(黄色1400M以下、青色1600~1800M)
もちろん全成績を見て時期、距離を選出しているので後出し。一番の原因はヘリオスの気性、走りが購入側の感覚をおかしくさせたこと。
※距離別 ヘリオスの気持ち
適性距離では真面目に走る馬。父の皐月賞や母産駒から本質的に中距離馬。真面目に走りすぎて抑えがきかず1600~1800Mで好走、1400M以下は基本流れが速く追走難しい。
理由を追加すると、
(5)まだスプリントとマイルに区分がない時代。バンブーメモリー、ダイイチルビー、ニシノフラワーはどちらでもGⅠ勝利(路線整備は後のサクラバクシンオー以降)。陣営も馬券購入者も区別意識が今より薄い。
(6)3歳までは適性距離が確立されていない → 4歳前半に「ダイイチルビーがいると好走」印象で気分屋イメージが助長→更にパーマーと2000M以上まで出るから何が何だかわからない。
ただ対ルビー戦も1400M以下は好走していない。
また、岸騎手が11連敗していた頃は距離適性時に騎乗していないことが多い。更に本格化前時期だったり、苦手の東京で好走させているが2着止まり。
主要勝ち鞍
GⅠ マイルCS (91,92年)
GⅡ マイラーズC(91,92年)、毎日王冠(92年)
EXTRA 種牡馬時代
日高軽種牡馬農業協同組合で種牡馬入り。繁殖牝馬の質には恵まれなかったが、仕上がりの早い丈夫でコツコツ稼ぐ短距離種牡馬として歓迎された。シンジケート費用も高くなく年間60頭前後で安定。
残念ながらダイイチルビーとの産駒はいない。相手は超一流お嬢様のためやむなし。ルビー代表産駒はダイイチシガー(オークス3着等)。
ただ日本競馬屈指のカップル。ゲームウイニングポスト内で架空産駒ファーストソフィーが公式作成。当時2頭のカップル具合が後のゲームにも反映されている。
ウマ娘内でもルビー家の愛犬の名前がサフィー。
ヘリオスには塩対応だがサフィーには優しいルビー。
The夢の産駒。ただヘリオスも75年皐月賞、ダービー馬、狂気の逃げ馬カブラヤオーと大雑把にいとこ関係、母系優秀、狂気の良血。
ルビーは高速馬場向きでない傾向があるとされる母系ファミリー№7(ただ勝負根性は高く、代表はオグリキャップ)。
日本競馬血統の切り札№8平成の先駆け(他にシンボリクリスエス、ドリームジャーニー、オルフェーヴル、ドゥラメンテ、アーモンドアイ等 狂気の№8)
そもそもNo.は23種類もあるのでほぼ意味はないが競馬ファンが夢を見た産駒。
親子2代の珍プレー
00年スプリンターSで息子ダイタクヤマトが珍プレーをおかす。最低人気(16番人気)で逃げ切りGⅠ勝利。メンバーも弱くなくGⅠ馬7頭出走。親子揃って意味がわからない。
サンデーサイレンス等の影響で88~94年JRA GI勝ち → 種牡馬でGⅠ馬を輩出は僅か6頭。4頭は社台バックアップがあったがメジロライアンとヘリオスは無関係。意味がわからない。
GⅠ最低人気勝利はグレード制導入後、89年エリザべス女王杯サンドピアリス以来2度目の珍事。
(その時のサンドピアリス鞍上は岸騎手。また現在は笹田和秀厩舎の調教助手。)
種牡馬入り6年目以降に種付け数が減っていたがヤマトの活躍により回復。
その後、03年に青森県の山内牧場へ移動。この頃のヘリオスは高齢ということもありのんびり、マイペース。現役時の珍プレー好プレーはなかったことにしているような顔。
ルビーとの仔ではないがヘリオス最後の産駒がファーストサフィーと名付けられる逆輸入。
2008年12月12日、ダイタクヘリオス号は静かに生涯を終えた。
まとめ
現役引退から約30年、「パリピなギャル」として当時の珍プレーを蒸し返される。ダイタクヘリオスの存在自体知らない人にまで知れ渡る変な走りのマイル王者。再び昇る太陽。
ヘリオスとメイケイエールとの共通点は強さ・面白さの共存、また父が期待されていない点も近い。
でも一番は限界なんて知らないと言わんばかりの真っすぐさ。それが大人になって徐々に覚える諦めの線、折り合いをつける人間が感じる子供の頃への懐かしさ、憧れ、輝き。何よりも輝いているその微笑み。
尚、今秋にリミックスCDのイメージキャラクター、来年には舞台も控えるヘリオス。声優さんへ過酷ローテの因子継承。なるようにしかならない。
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見て頂けることは幸いですが、見ても何のメリットもないかなぁ…と思われます。