本記事は歴史的マイラー「タイキシャトル」解説です。
ウマ娘内では呑気なアメリカパーティーガール。ただモデル馬はモンスター級、海外GI勝利の先駆け、年度代表馬受賞した歴史的マイラー。
史実のタイキシャトルの戦績、エピソードなどからモデル馬の元ネタ+ウマ娘ストーリー反映解説。
ウマ娘 タイキシャトル キャラクター
<ウマ娘 キャラクター>
・アメリカ育ちの本場パリピガール
・強いマイラ―
・パワー
・集中力に欠ける面、興味を持ったものにつられて本来の目的を忘れる。
モデル馬から元ネタ、理由解説
アメリカ育ちの本場パリピガール
モデル馬がアメリカ生産で輸入された外国産馬。アメリカ人ステレオタイプ気質、スプリント~マイルをスピードで圧倒、デビュー前にゲート試験を2回落ちる落ち着きのなさ起因。
歴史的マイラ―
マイルでの圧倒的国内成績+海外(フランス)で日本調教馬としてGⅠ制覇。この両方を備えた競走馬は15年以上先のモーリスまで現れないマイルの先駆者。
パワー
スピードに加えてパワーに秀でた。500kgを超える馬体、ダート重賞勝利、不良馬場でGⅠ勝利、欧州向きとも評価された現役時のイメージ。
ウマ娘内では普段からハグ好きだが痛い、ほぼタックル。
集中力に欠ける面、興味を持ったものにつられて本来の目的を忘れる。
デビュー時から他のもの(スタンド、影など)に気を取られる気質。フランスGⅠ競馬中も物見しながら走っていた。
~クラシック期 ストーリー
目標レース
史実と同じく短距離路線(スプリント~マイル)が目標。現実では3歳(クラシック期)4月デビューの遅れから出ていないシンザン記念、NHKマイルCが追加。
フランスで勝利したジャックルマロワ賞はゲーム内に海外競馬場がない関係からレースがない。
シーキングザパール固有ストーリー(現実ではタイキ出走の前週にフランスGⅠ勝利)で補完、触れられている。
(シーキングザパール記事 リンク)
年度代表ウマ娘
フランス遠征に代わりストーリーの軸になるのは「年度代表ウマ娘」。現実では98年(ストーリーシニア期に相当)に年度代表馬受賞。
偶然、図書室で展示書類整理していたエアグルーヴから年度代表ウマ娘について教えてもらう。
みんなの夢を与え・心に残るの存在が年度代表ウマ娘。そんなレース(夢を与え、心に残る)をするウマ娘になりたいとトレーナーに告げる。
パーティ物語
とにかくパーティ、パーティ、たまにバーベキュー、基本パーティしか言わない。ステレオタイプアメリカ人か沢口靖子並にパーティ。
ハイテンション、感情表現豊か。ただ母国へのホームシック、極度の寂しがり屋の裏返し。
(参考図) アメリカパリピ 日本パリピ 比較
↓日本のパリピ
マイルCS (クラシック期)
クラシック期の最大目標となるのはマイルCS。現実と同じく同じくサイレンススズカが出てくる。
模索段階での出走意味合いでもあるとのこと、この時点でスズカは本格化前。といっても結構強化されてる。レース後にはタイキのスピードから見えたものあったと御礼される。
ストーリーの大きな軸、ライバルはサイレンススズカ。
97年クラシック組ストーリーに異様に出てくるスズカ率。
そして97年組の仲良さ。タイキとメジロドーベルは同室設定、朝起きてドーベルがいないと寂しがるので早朝トレーニングができないドーベル。
ゴールドシップ、オルフェーヴルらの父親も97年組。
史実解説 ~クラシック期ストーリー
馬齢は2000年改正表記にしています
アメリカ生まれ ~ デビュー
94年生まれの牡馬。父Devil’s Bag、母Welsh Muffin。ウマ娘と同じくアメリカ生まれの外国産馬。モデル馬は1歳時はアイルランドに行き調教、そこで日本に輸入される。
藤沢和雄厩舎に入厩。当初から物見(周囲のものに気を取られたり、驚くこと)、集中力が途切れやすい、扱いにくい馬だったが主戦の岡部幸雄騎手とともに仕上げていく。
当初は脚部が弱かったこともあり遅めの3歳4月デビュー。ダート・芝と4戦3勝。
次走の初重賞ユニコーンステークス(GⅢ)も快勝。ダート戦はこれが最後、いかにも走りそうなアメリカ血統だが普通に勝ってしまうポテンシャル、適性の広さ、パワー。
97年 マイルCS
前哨戦スワンSをステップに3歳馬ながら秋のマイル王決定戦、GⅠのマイルCSへ。骨太なメンツ、スタート直後に善臣先生落馬(タイキフォーチュン)、キョウエイマーチが1000M56.5秒の超ハイペースの荒れ模様。そんな中、4番手でレースを進め、普通に快勝。
キョウエイマーチも2着に粘る強さ、2番手追走したサイレンススズカは惨敗。
スプリンターズS
次走の1200M、スプリンターズステークス(GⅠ)も先行して普通に快勝。マイル勝利が多いがスプリントにも対応できるスピード。3歳ながら既に王者の風格。
当年は古馬王道路線に圧倒的候補がいなかったため年度代表馬の候補へ。
結果はエアグルーヴ(天皇賞秋1着、ジャパンC2着、有馬記念3着)。票数もエアグルーヴ82、タイキシャトル50、サニーブライアン37、グラスワンダー10票に分かれる結果。
シニア期 ストーリー
前年の年度代表ウマ娘にエアグルーヴが選出(史実準拠)。
トレーナーも気にはしていたが短距離レースは2000M以上の王道路線、クラシックなどより年度代表に選ばれにくい、というよりも選ばれた例がない。
レース体系が長距離優先。次第に2000M評価も高まるが、マイル等は評価は低い・注目度低い傾向。過去の八大競走(牡馬クラシック三冠、桜花賞、オークス、天皇賞春・秋、有馬記念)の名残。
大雨の中の無敵 安田記念
現実と同じく大雨の不良馬場。しかしアメリカンなスピードとパワーでものともしないタイキ。身長172cm、色々と大きいし。
この前後にスズカがGⅡ金鯱賞で圧勝、GⅠ宝塚記念(2200M)を勝利する。
マイルCS (シニア期)
年度代表ウマ娘も佳境の時期。ただサイレンススズカが毎日王冠→天皇賞秋を勝利。次走ジャパンカップ勝てば年度代表確定。本格化、スピードの向こう側カンスト状態。
路線云々の前にタイキ受賞困難。しかし前年見せたタイキのスピードに追い付くため予定を変更してマイルCS参戦、タイキに宣戦布告するスズカ。
マイルCSに勝てばタイキシャトル>最強ウマ娘サイレンススズカの構図。
レース勝利後、スズカからまた再戦の約束。
そして、タイキは念願の年度代表ウマ娘に選出。
史実解説 シニア期ストーリー
4歳年明けに蹄に亀裂が入るアクシデント。志賀装蹄師の努力もあり何とか5月の京王杯スプリングCに間に合う(普通に勝利するタイキ)。
98年 安田記念
ウマ娘内で反映された通りGI安田記念は大雨の不良馬場。直線で離されたように見えたが、2着オリエンタルエクスプレス(香港馬)を差し切り2馬身以上の快勝。
どんな環境でも勝つのがこの馬の強さ。あとTV中継が非常に見えづらい。
フランス遠征
国内敵なしでフランス遠征。
目標はジャック・ル・マロワ賞(GⅠ)。1600Mの直線競馬、滑走路みたい。(22年もバスレットレオン参戦、7着)
前週にシーキングザパール(武豊騎手)が同じフランスGⅠモーリス・ド・ゲスト賞(1300M)勝利。
パールの森秀行調教師(海外好き、変なローテ好きおじさん)が「来週のタイキが強い」とか言うから現地単勝が1.3倍に膨れる。(同じドーヴィル競馬場開催)
(別記事 リンク)
フランス滞在中のタイキはおとなしかったが、レース前は入れ込んで、志賀装蹄師を蹴りを入れて骨折させるほど興奮。
レースでは慣れない環境からか物見(スタンド方向に視線)するも、後半は集中力を取り戻し岡部騎手のGOサインに反応、勝利する。2着はまたも香港馬オリエンタルエクスプレス。
パール→タイキと2週連続の日本調教馬初の海外GⅠ勝利。
岡部騎手はレース後に涙。元々海外志向、遠征の多い騎手。シンボリルドルフとはアメリカ遠征も行った(レース中故障により、6着。藤沢調教師は当時ルドルフ、野平厩舎の調教助手)。岡部騎手と藤沢調教師にとって海外GⅠ勝利は長年の悲願。
引退2レース
日本に戻り、マイルCSを5馬身で勝利。もう化け物。
ここで陣営は引退しようとするもJRA要請もありスプリンターズステークス連覇を目指す。しかしタイキは丸々太っており(530kg、同年安田記念時が510kg。既に前走マイルCSで兆候はあった)3着に惜敗、有終の美は飾れず。
(1着マイネルラヴ、2着シーキングザゴールド)
藤沢調教師いわく、タイキは周囲の雰囲気から引退を悟っていて調教も嫌がる。(メジロマックイーンも周囲の様子から察知、引退式準備までに一気に老け込み)
ウマ娘内でタイキシャトルが大食いなのはこの辺りの話から。
年度代表馬選出
短距離馬では異例の年度代表馬に選出。(ウマ娘ストーリー内にも反映) 98年古馬王道路線に複数勝利馬がいなかったことも要因だが、票数は分れず大差での選出(タイキ174、サイレンススズカ16、エルコンドルパサー11票)。
国内生産保護のためレースの制限(タイキの時代はクラシック、天皇賞春・秋は出走不可)されていた外国産馬、不遇の短距離馬が掴み取った勲章。
日本内国産馬の海外GⅠ勝利はあと3年後。「え、これ?」的な馬が達成。
また日本競馬の発展に大きな貢献をした馬に表彰されるJRA顕彰馬(歴代で34頭、年度代表馬よりハードルが高い)も引退後に受賞したタイキシャトル。これもマイル以下の短距離馬では初。
種牡馬、功労馬時代
種牡馬時代
GⅠ馬ではメイショウボーラー、サマーウインド、ウインクリューガー、その他重賞馬も輩出。
サンデーサイレンス~サンデー直仔過度期にトップ20の常連、2005年はトップ10。種牡馬としても活躍。
功労馬時代
種牡馬引退後は引退馬協会の※フォスターホースとしてヴェルサイユフォーム → Northern Lake (ノーザンレイク)で繋養された。仲が良かったのはメイショウドトウ。
タイキの性格は、
・現役時と同じく気高い、威厳がある
たまたま近くにいたヤギが威嚇されなくとも逃亡。一方ドトウの周りはヤギ密集。救いはない。
・物分かりがいい
放牧、食事など人間が終わりと言えば理解。特に文句は言わない。一方、ドトウは食事関係の聞き分けが悪い、粘る。
・スキンシップ好き
心を許した人間、メイショウドトウにはスキンシップ、甘える。ドトウは4年近く馬房が隣、またノーザンレイクはドトウ以外、他は牝馬しかしない。
(引退馬協会 URL)
(当ブログ内記事)
※引退馬協会の支援制度。会員(フォスターペアレント)の会費、助成金、グッズ売上、寄付、一般・後援会員の支援により馬の繋養費用を捻出する里親制度。タイキシャトル、メイショウドトウはフォスターホースの看板、宣伝役割が強い。
2022年8月17日、タイキシャトル号が繋養先で亡くなりました。
歴史的マイラーにして名馬タイキシャトル号のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
また、タイキシャトルを支えて頂いたノーザンレイク関係者の皆様に感謝いたします。
2022年8月18日
主要勝ち鞍
GⅠ マイルCS(97,98年) スプリンターズS(97年) 安田記念、ジャック・ル・マロワ賞(98年)
(レース名・グレードは当時準拠)
アニメ版
1期、4話のスペシャルウィークの併走相手。スペはタイキの走りから坂でのピッチ走法を会得。誰が見ても強い印象、後々直接対戦しにくいからよく併走相手に選ばれるタイキ。
プチ情報 歴代年度代表馬
JRA主催で行われる年間での活躍をたたえる(賞金は出ない)賞。最も1年で活躍した馬に贈られる名誉。記者投票により選出。
(86年以前は優駿賞啓衆社賞、優駿賞の別機関が選出。)
年度 | 競走馬 | 主要成績 |
1987 | サクラスターオー | 皐月賞、菊花賞 |
1988 | タマモクロス | 天皇賞春・秋、宝塚記念 |
1989 | イナリワン | 天皇賞春、宝塚記念、有馬記念 |
1990 | オグリキャップ | 安田記念、有馬記念 |
1991 | トウカイテイオー | 皐月賞、日本ダービー |
1992 | ミホノブルボン | 皐月賞、日本ダービー |
1993 | ビワハヤヒデ | 菊花賞、有馬記念2着 |
1994 | ナリタブライアン | 牡馬三冠、有馬記念 |
1995 | マヤノトップガン | 菊花賞、有馬記念 |
1996 | サクラローレル | 天皇賞春、有馬記念 |
1997 | エアグルーヴ | 天皇賞秋、ジャパンカップ2着 |
1998 | タイキシャトル | ジャック・ル・マロワ賞、安田記念、マイルCS |
1999 | エルコンドルパサー | サンクルー大賞、凱旋門賞2着 |
2000 | テイエムオペラオー | 当時の芝古馬王道GI全て |
2001 | ジャングルポケット | 日本ダービー、ジャパンC |
2002 | シンボリクリスエス | 天皇賞秋、有馬記念 |
2003 | シンボリクリスエス | 天皇賞秋、有馬記念 |
2004 | ゼンノロブロイ | 天皇賞秋、ジャパンC、有馬記念 |
2005 | ディープインパクト | 牡馬3冠、有馬記念2着 |
2006 | ディープインパクト | 天皇賞春、ジャパンC、有馬記念 他 |
2007 | アドマイヤムーン | 宝塚記念、ジャパンC、ドバイDF |
2008 | ウオッカ | 天皇賞秋、安田記念 |
2009 | ウオッカ | ジャパンC、安田記念 他 |
2010 | ブエナビスタ | 天皇賞秋、ヴィクトリアM、ジャパンC2着 |
2011 | オルフェーヴル | 牡馬3冠、有馬記念 |
2012 | ジェンティルドンナ | 牝馬3冠、ジャパンC |
2013 | ロードカナロア | 高松宮記念、安田記念、香港スプリント 他 |
2014 | ジェンティルドンナ | ジャパンC、ドバイDF、天皇賞秋2着 |
2015 | モーリス | 安田記念、マイルCS、香港マイル |
2016 | キタサンブラック | 天皇賞春、ジャパンC |
2017 | キタサンブラック | 天皇賞春・秋、有馬記念 他 |
2018 | アーモンドアイ | 牝馬3冠、ジャパンC |
2019 | リスグラシュー | 宝塚記念、有馬記念 |
2020 | アーモンドアイ | 天皇賞秋、ジャパンC 他 |
2021 | エフフォーリア | 皐月賞、天皇賞秋、有馬記念 |
年度代表馬 選出傾向
(1)古馬芝の王道GI(大阪杯、天皇賞春・秋、宝塚記念、ジャパンカップ、有馬記念)を2勝以上+海外GⅠも加味。
(2)古馬芝王道GⅠは1勝+2着や他距離GⅠ勝利。
(3)クラシック+古馬王道GI (3歳馬が本格的に古馬対戦するのは秋以降)勝利、または2着
(4)クラシックのみ (怪我理由で古馬と対戦していない、負けていない等)
例外はタイキシャトル、ロードカナロア、モーリス。短距離路線(国内+海外)GⅠ活躍によるもの。
(その他)
・投票なので特に基準はない。人気ホース、馬券人気を背負った馬、年間継続して活躍している馬が受賞傾向。また対戦メンバー、直接対決、年末頃結果も投票に影響されやすい。
・ダートGⅠ、障害競走馬からは選出なし。
・満票選出は2000年テイエムオペラオー、アーモンドアイの2頭のみ(謎馬に投票する記者がいるのも理由)。
まとめ
・最強マイラー、海外GⅠ制覇 (その後、日本馬が各国でレース勝利。その先駆け。現在は香港、ドバイは日本に毎年外貨を奪われている。)
・短距離馬で初の年度代表馬に選ばれる。
ストーリー内でタイキが「これからワタシを知る人たちにもハッピーに…」とあります。
当馬が亡くなり、時間が経過すれば当時を知る人、伝えるが少なくなる。ただ「1998年 年度代表馬タイキシャトル」とあれば新たに知る機会。
そのスピードとパワーで歴史を切り開いた名馬、タイキシャトル号。