本記事はなぜか関西弁「タマモクロス」解説です。
モデル馬の史実(生まれた牧場倒産、小さな馬体、連勝劇開始、父親譲りの葦毛・追い込み、同じオグリキャップとの葦毛頂上決戦)がどのようにウマ娘ストーリーに落とし込まれているか元ネタ比較、反映解説。
現実の方が漫画、フィクションのような競走馬、オグリと共に第2次競馬ブームの先陣タマモクロス、モデル馬とウマ娘ストーリー解説です。
ウマ娘 タマモクロス キャラクター
<ウマ娘 キャラクター、性格>
・生い立ちが貧乏
・体格小さい (140cm)
・ハングリー精神、ど根性
・関西弁、浪速の精神
モデル馬から元ネタ、理由解説
馬齢は2000年改正表記にしています
84年に錦野牧場で誕生した牡馬。父シービークロス、母グリーンシャトー。
「貧乏」= 故郷の錦野牧場が87年5月に経営不振から閉鎖。
タマモクロスが活躍し出す約半年前に経済的理由から故郷を失っている事情。もちろんタマモクロスがその事情は知らないにしても「表彰式は常に生産者不在」「もう少し活躍が早ければ」という風潮。
体が小さい
現役時が小柄な部類、440~450kg台。
極端に小柄ではなく、当時の牡馬平均から10%弱程度軽い部類。近い馬体重でディープインパクト、サイレンススズカが活躍。ドリームジャーニーは更に20kg前後軽い。
食が細く調教に苦慮した、細い馬体から期待されていなかったことが加味。
またライバルのオグリキャップが490~500kgと当時では大柄な部類から対比。
ハングリー精神、ど根性
上記境遇 + 遅めの充実期 → 条件戦からGⅠ馬まで勝ち上がった面。
「関西」に関しては明確には理由なし。
北海道生まれ→栗東(滋賀県)トレセン。関西馬とは呼ばれるものの他競走馬も同じ。関西色が他競走馬より強いエピソードもなし。
しいていえばウマ娘での見た目、性格が漫画「じゃりン子チエ」っぽいから。
ウマ娘 ~クラシック期 ストーリー
目標レース
本人の意思に反して、クラシック時期までは固有の目標レースなし。
理由は体が小さく、体が出来上がるまでは無理をしない方針。(ただクラシックに出しても割と好走)。
目標はデビュー戦、ファン数目標、GⅢ以上3着を4回以内のみ。
プリティです。プリティーダービーです。
三冠路線に出すとライバル枠はゴールドシチー。小さい体から過少評価されるタマモクロス。美貌からモデル業、アスリートとして逆に過少評価されがちなシチー。
決して弱い馬ではないが単にウマ娘化した同期がゴールドシチー、イナリワンのみ。本来ならサクラスターオー。
イナリワンはクラシック期は大井競馬所属、実際の対戦がない。
クラシック期にバ群に巻き込まれて転倒する事故、怪我が起きてしまう。
それ以降トラウマになる(レース中も常に体力消耗)。
克服のきっかけはクラシック夏合宿中に1期下、後の宿敵、オグリキャップの走りを偶然見たこと。
当時無名とはいえ雑な紹介 (オグリキャップ)
オグリキャップの走法はウマ娘内だと体を低くする前傾姿勢、ワンちゃんみたいな走り。
タマモクロスも低い姿勢、バ群にうつかっても転倒しにくい安定性に加えて、持ち前の瞬発力でバ群と相対する時間を最小限にする走法を会得!
ウマ娘内、走法論なので何となく理解しておけばいいし、しなくてもいい。
史実から解説 ~クラシック期ストーリー
史実でもデビューは遅めの3歳、3月。まず皐月賞、ダービーを狙えない(狙わない)時期。
デビューの体づくりに時間を要したかまではソースがないが、牝馬より食が細いタマモクロス。
デビュー4戦目で他の馬の落馬に巻き込まれてタマモクロスも落馬、打撲を負う。それ以降走ったダート4戦も馬群を怖がり能力を発揮できない。
3歳秋 覚醒
芝に戻り条件戦を7馬身、8馬身で連勝、GⅡ鳴尾記念では6馬身の追い込み勝利。
ウマ娘通り、この頃は馬群に入れず後方待機、追い込みをしている。
また走法も低い姿勢、全身を伸ばすフットワーク、頭を上げない(キングヘイローの逆)フォーム変化。(翌88年有馬記念が分かりやすい、ただ併走しているのが同じく低いオグリキャップ。)
史実では87年夏合宿時期、タマモクロスは覚醒前(トラウマ中)、オグリは笠松競馬で走っていた。
「関西の秘密兵器」として菊花賞前、有馬記念も出走が望まれたがローテーション・体質面・翌年を考え出走せず。
関西の秘密兵器
主に菊花賞前に勢いのある、前レースで不利があり結果の出なかった関西(栗東トレセン所属)馬が現れると付けられがちな異名。重賞以外の中継機会が少なかったのも理由。
ストーリー内でタマモクロスが「栗東のバレバレ兵器」と言っていた由来。
現在はほぼ使われない。翌88年から関西馬の勝利数が関東馬(美浦トレセン所属)を上回る、現在まで関西優勢続く。関西が注目されない・弱い理由がなくなる。菊花賞88年スーパークリーク、90年メジロマックイーンへは表現された。
ウマ娘 シニア期 ストーリー
シニア期から明確な目標レースが4つ。
天皇賞春(3着以内)、宝塚記念(1着)、天皇賞秋(1着)、有馬記念(1着)。全て史実で走り、着順も近い。
タマモクロスの父親が病気で入院、引退を考える時期もあるが、父親・家族の後押し、なぜかオグリのことが頭に浮かんだことから現役続行。
天皇賞春、宝塚記念の頃にはタマモクロスは生い立ち、レース成績からファンから人気を得る。また1歳下のオグリも地方から転籍の背景、重賞連勝で人気を得る。
宝塚記念はまだ中央競馬にいないイナリワンをしれっとライバル枠にする。
「世間の人気」表現がウマ娘内でも別格扱い。
他ストーリーでの「○○理由でファン応援、人気ウマ娘へ」とは差別化するために、
・ミスターシービー・シンボリルドルフを引っ張り出して「夢の三冠対決」を重ね合わせ、今後の2人に期待。
・トレーナー「何かが始まりつつあるかもな」「特別な時間」表現。
・時代のうねり、2人に人々が夢を重ね合わせるとか描写が多い。世はまさに第2次トゥインクルシリーズ時代。
(88年より第2次競馬ブーム、先駆けの競走馬がタマモクロス、オグリキャップ。)
シニア期 秋3連戦
夏合宿中にお互いのルーツが近い・親外の走る理由について話すとともに、オグリから天皇賞秋でタマモクロスに挑戦意思を告げられる。
ここからクライマックス展開。
・天皇賞秋
オグリに勝利(目標設定上)。
また、菊花賞に勝利したスーパークリークも年末の有馬記念に出走表明。
しかし食の細さが再び出たタマモクロスにGⅠ連戦は厳しい、トレーニングに耐えうる食事が取れない。そのため引退を引き換えに選手生命をこの秋全て、オグリとの対戦に賭ける。
・ジャパンカップ
オグリが出走宣言。目標には入っていないが、勝利するとエンディングに永世3強(オグリ、クリーク、イナリワン)エンド追加。
・有馬記念
安心沢笹針師、タマモクロス母親などを頼り、トレーナーが栄養価の高い・懐かしい味、タマモクロスにとって食べやすい食事を用意。高スペックなトレセン学園トレーナー、あと安心沢笹針師も真面目にやればただの有能。
2人の活躍が文献に残されてしまう
シンボリルドルフが図書室で当時の文献を探すシーン。2人について記載された項目が下記。
「追うように大成するウマ娘たち」
(描写ではメジロマックイーン・ライアン、トウカイテイオーが2人を追いかける、想いを馳せる)
「レースに関心のなかった層まで関心を示し、獲得した幅広い熱気は、さらに次の世代に伝播していく」
この時期がなければおそらくダビスタもウイニングポストもウマ娘もない。近いものはあっても人気はそこまでない。
シンボリルドルフは普通に制服着て会長室で読んでいる。謎時空。
サポートカード「さあ、ウチとやろうや!」
史実から解説 シニア期ストーリー 元ネタ
もう現実の方が漫画みたいな展開
現実の秋古馬3連戦
天皇賞秋
<レースまでの経緯>
・タマモクロスは条件戦からGⅠまで7連勝中。秋3連戦を考慮して秋初戦。当時は前哨戦が重要視されていたので2番人気。
・オグリは中央移籍後6連勝中(笠松競馬時含むと14連勝)。前哨戦の毎日王冠を快勝。1番人気。
・共に恵まれない境遇、常識では走らない非エリートの似たバックボーン。
・「葦毛は走らない」定説。1,2番人気。
理由は過去に日本のトップクラス馬がいない、頭数自体が少ない(全体7%程度)、日本で葦毛の基礎種牡馬がほぼいないこと(タマモクロスはアメリカ馬のひ孫系統、オグリはアメリカ馬の孫系統。どちらも親は日本繋養種牡馬。)
<結果>
普段後方のタマモクロスが2番手先行策。残り200Mで逃げるレジェンドテイオーを交わし1着。オグリキャップは外から追い込むも1馬身以上離された2着、ゴール時には体力が尽きタマモクロスよりも内側にヨレていた。
葦毛は走らないとこれ以降言われなくなった。(その後にメジロマックイーン、ビワハヤヒデなどが続いた)
<タマモクロスの父親>
葦毛、70年代後半~80年代前半に活躍したシービークロス。後方からの末脚で白い稲妻と呼ばれた人気馬。大レース勝利はないが重賞3勝。
ジャパンカップ
当年凱旋門賞馬トニービン参戦。1番人気タマモクロス、2番人気トニービン、3番人気オグリキャップ。
今回はタマモクロス後方で進める。直線で伏兵扱いだったぺイザバトラーと先頭争いするも、ぺイザバトラーが進路を変える(タマモクロスが馬体を併せると伸びる馬のための対策)。タマモクロスは半馬身差2着。オグリ追い込むも3着、トニービンは5着(レース中骨折)。
有馬記念
これがタマモクロスの引退レース。
ウマ娘ストーリー通り、レース前の食が細くなりまともに調教が行えないタマモクロス。
1番人気タマモクロス。続いてオグリキャップ、サッカーボーイ、スーパークリークの人気順。
オグリが先行策、タマモクロスは最後方。タマモクロスが残り800Mからロングスパート開始。直線で一旦オグリに並びかけるがオグリの粘り腰で半馬身差2着タマモクロス。
サッカーボーイはゲートにぶつかり鼻出血しながら3着。スーパークリークは斜行、進路妨害で失格(3位入線)。
タマモクロスは万全の体調に遠いながらも2着に迫る。繊細さ、食の細さ+秋古馬3戦が栗東トレセン(滋賀県)馬からの関東圏移動が有馬記念では堪えた形。
逆にオグリは食欲旺盛で食事がないと馬房の寝藁も食べる。減量に苦労するタイプ。レース以外は闘志を見せず、食べる、寝る。周囲に関心なし、動じないタイプ。人間にするとウマ娘内に近い性格。
1週間前に栗東から中山競馬場へ輸送(移動で片道4~8kg程度は体重が減る)、減量も兼ねていたのにほぼ減らないオグリ。
88年秋 2頭の馬体重変動
オグリキャップ | タマモクロス | |
毎日王冠(東京) | 494 | – |
天皇賞秋(東京) | 492 | 452 |
ジャパンC(東京) | 494 | 450 |
オグリキャップのみ栗東→中山(1週前調教含む)→栗東→中山 | ||
有馬記念(中山) | 492 | 448 |
【悲報】オグリ 滋賀⇔千葉往復した挙句 減量失敗
栗東(滋賀県)
→中山競馬場(千葉県)で1週間前追切、スクーリング
→栗東(滋賀県)
→中山競馬場(千葉県)
第2次競馬ブーム
武豊騎手、後の平成3強、バブル景気、JRA内改革など要因はあるにしても、タマモクロス・オグリキャップ2頭が火蓋を切った第2次競馬ブーム。
・馬券売上がたった3年間で2兆円→3兆円
(97年に最高4兆、11年前後に2.2~2.4兆まで落ち込む、その後ジリジリ回復して21年は3兆円)
・平日のスポーツ新聞一面「オグリにも嫌いな食べ物が!?」どうでもいい話題。
・90年有馬記念(オグリの引退レース) 入場者17万人超え、キャパオーバー。現在も中山競馬場記録。
・90年日本ダービー。入場者19万人超え、現在も日本競馬場記録、多分世界記録。一般的にはよく知らないおじさんへ20万人のコール、大歓声が起きてしまう。
(中野コール:アイネスフウジンで勝利した中野栄治騎手へのコール。当時36歳、目立った戦績はなかった。ギャンブルだった競馬がエンターテイメントになった日。現在なら武士沢友治コール。)
家族関係 史実
・TVでタマモクロス活躍を見た妹が同じように走りたい
→半妹ミヤマポピーが88年エリザベス女王杯勝利。解散した錦野牧場の生産馬。ほぼ2頭の活躍で88年生産者リーディング3位。
・有馬記念に観戦しているのが父、祖母
母親がなぜかいない。史実のグリーンシャトーは87年7月に他界。ウマ娘内でもクラシック期(87年5月)に命に別状はないが倒れて病院へ。
トトロのサツキ、メイは実は亡くなっていた的なやつ。
数週間前にトレーナーと会っている。単に小さい子供がいるので千葉県まで来なかった説。
マキバオー
94年連載開始 漫画「みどりのマキバオー」はタマモクロスがモデル馬と推測されている(作者が明言はしていない。あしたのジョーは影響とは発言)。
マキバオーが白い、小さい、追い込み脚質、生まれた牧場倒産、妹がGⅠ勝利など共通点(マキバオー血統はウイニングチケットが近い)。
アニメOP曲「走れマキバオー」(70年発売「走れコウタロー」カバー曲)
→ 「走れウマ娘」イントロ部分、2番サビ後に「更にタマモクロスが上がってくる」特別扱いはマキバオーつながり。もう何が何をオマージュしているか混乱。
続編「たいようのマキバオー」主人公ヒノデマキバオーは父親タマモクロス設定(名前は若干変えられている)。
漫画シンデレラグレイ版、アニメ版
漫画シンデレラグレイ版
週刊ヤングジャンプで連載中、オグリキャップを主人公とした漫画「ウマ娘 シンデレラグレイ」。87~90年頃史実が舞台。Cygamesプロジェクトなのでウマ娘と世界観は同じ。
タマちゃんマジ怖い。
あのダミ声「さあ、うちとやろうや!」を有馬記念直線で言ってくる。断りたい迫力。
作風から全体的に怖い。目がヤバい、女の子がしちゃいけない顔してる、オーラ、ゾーン演出が出てくるからそろそろスタンド出そう。敢えてプリティ外しているし。
とはいえコメディタッチ、絵も見て抵抗感ある線でない、プリティな時はプリティ。基本はレース中怖い。
タマモクロスは割と最初の方から出ているが、本格的には4巻途中~8巻の白い稲妻編。こちらでは88年の有馬記念で引退。
週刊ヤングジャンプ内 URL
アニメ1期はファン感謝祭イベント、ドーナツ大食い対決でオグリ、クリークと対決(88年有馬記念オマージュ)。
2期はほぼ出番なし。平成三強と登校する背景。
主要勝ち鞍
GⅠ 天皇賞春・秋 (88年) 宝塚記念(88年)
(レース名・グレードは当時準拠)
まとめ
史実が漫画を凌駕する逆境から這い上がった競走馬「タマモクロス」
現実にいたからライバルと共に第2次競馬ブームが起きてしまう。
二次元にされるとカバみたいな珍獣、プリティな女の子、迫力怖い女の子にされてしまう。